骨粗しょう症 トピックス 【 Vol.6 】

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骨の健康に影響する生活習慣病(1)

〜糖尿病

2017年4月10日

生活習慣病があると骨が弱くなる?

生活習慣病とは長年の生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気の総称です。代表的な生活習慣病には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあります。これら生活習慣病から骨粗しょう症を連想する人は少ないですが、実は両者には深い関わりがあります。生活習慣病があると骨密度が減少するだけでなく骨質が悪くなるので、病気のない人に比べて骨折リスクが高くなることが分かっています。

どちらも自覚症状が現れにくいため、重症化してはじめて病気の存在に気づくという人は少なくありません。健診などで生活習慣病関連の検査値が「異常」と指摘されたら、医師の診察によって詳しい検査を受けるとともに、骨の健康にも気を配るようにしましょう。


骨粗しょう症と関連が深い糖尿病とは

生活習慣病の中でも、とりわけ骨粗しょう症と関係深いのが糖尿病です。
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の多い状態が続くことで、全身の血管に負担がかかり、血管や臓器が障害される病気です。血糖値が高くなっても、初期には目立った症状は現れません。しかし、放置して血糖値の高い状態が続くと、さまざまな合併症を引き起こすことがあり、その代表的なものに「糖尿病網膜症」、「糖尿病神経症」、「糖尿病腎症」があります(※1)。糖尿病があると動脈硬化が進行しやすくなるので、脳梗塞や心筋梗塞などの引き金になり、命に関わることもあります。


糖尿病が骨を弱くするワケ

糖尿病は骨の健康にどのように影響するのでしょうか。これには、インスリンというホルモンが関係します。食事から摂った炭水化物は、糖質に分解されてブドウ糖となります。そして、肝臓へ蓄えられて必要な分だけ血液中に送られ、筋肉などに取り込まれてエネルギー源として使われます。実はこのブドウ糖の量を一定範囲内に調節しているのがインスリンで、インスリンが十分に作用しなくなったり、分泌量が低下したりすると、ブドウ糖が血液中に過剰に増えてしまいます。このように血糖値の上がった状態が続くのが糖尿病です。

一方で、インスリンには骨をつくる骨芽細胞を増やす作用もあります。そのため、糖尿病になってインスリンの作用が低下すると、骨の新陳代謝において「つくる」よりも「壊す」働きの方が強くなり骨密度が低下します。

また、インスリンには腎臓でビタミンDを活性型ビタミンDにする働きがあります。活性型ビタミンDは腸管におけるカルシウムの吸収に欠かせません。インスリンの作用の低下や分泌量の不足がある糖尿病では、せっかく食事でカルシウムを摂っても吸収されにくくなってしまうのです。
さらに、血糖値が高い状態が続くと、尿の量が増えてカルシウムの排泄量も増えます。すると、体内のカルシウム不足を骨のカルシウムで補うことになり、骨密度はますます減少してしまいます。

糖尿病は骨密度を低下させるとともに、骨に含まれるコラーゲンの劣化を引き起こします。コラーゲンが劣化すると骨質が低下し、骨のしなやかさや強さが失われるため、骨折しやすくなります。

糖尿病は日本人に大変多い生活習慣病のひとつですが、糖尿病になってもきちんと治療を受けて血糖コントロールをしている人は、半数程度しかいないとされています。糖尿病は放置すると全身にさまざまな障害を起こす病気です。早期発見、早期治療とともに、骨の健康対策も心がけることが大切です。


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