骨粗しょう症 トピックス 【 Vol.9】

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骨の健康に影響する生活習慣病(4)

〜COPD(慢性閉塞性肺疾患)

2017年8月16日

COPDは骨粗しょう症をも招く全身性の疾患

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、肺の炎症により酸素の取り込みが不十分になるといった慢性的な呼吸障害が生じる病気です。以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていましたが、いまではこれらを総称してCOPDと呼んでいます。COPDの原因のほとんどは喫煙で、有毒物質に肺が長期間さらされることで起こることから、肺の生活習慣病とも言われます。

COPDが生じると、咳や痰が続いたり、きつい運動をしたわけでもないのに息切れがしたり、ひどくなると安静にしていても呼吸が苦しくなるため、酸素療法が必要になることがあります。 また、慢性的に血液中の酸素濃度が低下しているため、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、高血圧、脳血管障害などの病気が生じやすくなります。しかも、肺とは無関係に思える骨にも影響を与え、骨粗しょう症を引き起こしたり、骨折リスクを高めることが知られています。
このようにCOPDは肺だけでなくさまざまな病気につながることから、最近では全身の病気と考えられています。


骨粗しょう症はCOPDの重大な合併症

骨の健康において、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは大きな役割を果たしています。エストロゲンは骨吸収を緩やかにすることで、骨密度の低下を抑える働きをします。しかし、たばこにはエストロゲンの分泌量を抑制する成分が含まれており、喫煙の習慣が長いほど、骨密度低下は進みやすくなります。

また、COPDになると少しの運動量で息苦しくなるため、運動が敬遠されがちです。運動不足により筋肉量や筋力が落ちてしまうと、骨の形成に必要な負荷までもが減ってしまいます。
さらに、COPD患者さんはやせ型で低栄養の状態を示すことが多いのですが、骨を丈夫に保つのに欠かせないカルシウムやビタミンDなどの栄養素までが不足してしまいます。
このようにCOPDは骨を弱くする様々な要因があるため、骨粗しょう症はCOPDの重大な合併症のひとつと考えられています。

COPDはたばこを吸う本人はもちろん、吸わない人でも受動喫煙によって発症することがあります。禁煙はいつ始めても遅すぎるということはありません。喫煙の習慣がある方は、禁煙に取り組んでみてはいかがでしょうか。