骨粗しょう症 トピックス 【 Vol.10】

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骨を元気にする習慣―日光浴をしよう!

〜骨の健康に欠かせないビタミンDの力

2017年9月15日

骨を強くするのに欠かせないビタミンDってなに?

ビタミンDは、健康な骨を維持していくためになくてはならない栄養素です。ビタミンAやビタミンCのように「ビタミン」と呼ばれる栄養素の多くは、わたしたちの体の中でつくることができないため、食事などで外から摂取しなければなりません。
しかし、ビタミンDの場合、サケやいわし、かつおなどの魚類、卵黄、干ししいたけやキクラゲなどのきのこ類といった食物から摂る以外に、日光を浴びて私たちの体の中でもつくりだすことができます。そのため、ビタミンDは別名「サンシャインビタミン」とも呼ばれます。
食事や日光から得たビタミンDは、肝臓や腎臓で代謝され、活性型ビタミンDへと変化することで、その効果を発揮します。

その効果とは、カルシウムの代謝と骨に対する作用です。活性型ビタミンDは骨の材料となるカルシウムの吸収を助けたり、カルシウム摂取が不足しているときには、尿の中からカルシウムを再吸収するように働きます。また、骨へのカルシウムの沈着を調整し、骨形成を促します。骨の健康に欠かせない栄養素というと、私たちはまずカルシウムを思い浮かべますが、ビタミンDの助けがあってこそカルシウムが効率的に活用されるのです。
最近では、免疫力を高めてインフルエンザや風邪を予防したり、転倒予防、筋力の強化、がん予防、花粉症などのアレルギー疾患の予防など、骨に対する有効性以外にも関心が高まっています。


太陽の光を浴びると、体でビタミンDがつくられる

私たちの皮膚の下にある皮下脂肪には、ビタミンDのもととなるコレステロールの一種が含まれています。このコレステロールに紫外線が当たることで化学反応が起こり、ビタミンDがつくられます。
ビタミンDが欠乏した状態が続くと、骨を構成するカルシウムが不足して、骨がやわらかくなる「くる病(大人では骨軟化症)」になることがあります。昔の病気と思われていましたが、栄養の偏りや日光浴不足が原因となって、最近でもくる病になる乳幼児が見られ、問題となっています。
しみやしわなどの肌トラブルや、皮膚がんなど、なにかとマイナス面ばかりが強調されることが多い紫外線ですが、強い骨を維持するのに日光浴は欠かせません。

ビタミンDはカルシウム同様不足しがちな栄養素で、特に高齢の方では、肌でビタミンDをつくる力とともに活性化させる力も衰えがちです。食が細くなった、外出する機会が減って日光を浴びる機会が少ない、といった生活面での変化も ビタミンD不足を生じさせやすいでしょう。
また、若い方であっても、日焼け止め剤や、帽子、日傘などで常に紫外線対策を欠かさない人も注意が必要です。日光を浴びて肌でつくられるビタミンDの量は、食物を摂取して得られる量よりも多く、極端に紫外線を避ける生活はビタミンD不足の原因となります。

ビタミンDを補うために、冬であれば1時間程度、夏なら木陰で30分ほど戸外で過ごすよう、心がけましょう。日光浴をすると脳内に「セロトニン」という物質が分泌され、ストレス解消や集中力アップ、気持ちが明るくなるなどの良い効果も期待できます。積極的に日光浴をして、骨の健康を保ちましょう。