睡眠の質と骨の健康(1)
〜骨の成長や代謝にかかわる成長ホルモン
2017年10月17日
睡眠中に分泌される成長ホルモンが骨の成長と修復に影響する
睡眠は心身の健康を保つために必要で、質・量ともに十分な睡眠がとれないと、頭がすっきりしない、注意力が欠ける、体がだるいなど、さまざまな不調が現れます。しかし、それだけではありません。実は、睡眠の質は骨の健康にも影響を及ぼします。
睡眠中、わたしたちの体内でさまざまなホルモンが分泌されますが、中でも骨と密接な関係にあるのが「成長ホルモン」です。
成長ホルモンとは体の成長を促すホルモンで、直接骨に働きかけて骨を強く成長させる役目をしています。昔から「寝る子は育つ」と言われますが、子どもはたくさん眠って成長ホルモンを盛んに分泌させることで、骨が太く大きく成長していくのです。
本来睡眠とは、日中に活動した脳が疲れて休むために起こります。見る、話す、考える、手足を動かす、などの機能は、すべて脳によってコントロールされています。日中にフル稼働した脳は使えば使うほどエネルギーを消耗し、その休息のために睡眠が必要になります。眠ることで脳の疲労が回復して、翌日もしっかり働くことができるのです。
一方で、それほど疲れているわけでもないのに、夜になると自然と眠くなるという現象があります。これは体内時計が「夜になったから眠る時間」と告げているからです。
私たちの体は、交感神経と副交感神経という2種類の自律神経が体のさまざまな機能を調節しています。交感神経は昼間に働いて体温や脈拍、血圧などを上げて活動しやすい状態にし、夜になると副交感神経がこれらを下げて体をリラックスさせて休ませます。このような体のリズムを調節しているのが体内時計で、朝起きて体内時計がリセットされるとそれから14〜16時間後に眠気が起こる、というように1日の時間を調整しています。
また、眠っているときは、脳の休憩のための深い眠り(ノンレム睡眠)と、筋肉の休憩のための浅い眠り(レム睡眠)が交互に現れます。良い睡眠では深い眠りのノンレム睡眠が7〜8割を占めていて、眠りの前半に集中して現れます。このとき、成長ホルモンも大量に分泌されますので、骨の健康のためにも深い睡眠をしっかりとることが大切になるのです。