深く眠りたいと思っても、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目覚めてその後眠れない」など、睡眠について悩みを持つ人は多いようです。このような睡眠の質の低下につながる原因にはさまざまなものがあります。
年を重ねるにつれ、体が求める睡眠時間が減っていくことは自然なことです。活発に過ごす若い時期は、脳も体も多くの睡眠量を求めますが、年齢とともに活動量や基礎代謝量の低下などから、必要とされる睡眠時間は減少します。
また、眠りは女性ホルモンの影響も受けています。女性ホルモンのうちエストロゲン(卵胞ホルモン)は眠気を抑制し、プロゲステロン(黄体ホルモン)は眠気を起こしやすくしますが、女性ホルモンが変化する更年期や月経前などは、不眠が起こりやすくなります。
さらに、痛みも眠りの質を低下させる原因のひとつです。体のどこかに痛みを感じていると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなることがあります。骨粗しょう症による痛みから不眠に悩まれている方は、医師に相談してみましょう。
私たちの睡眠のリズムは体内時計によってコントロールされていますが、その体内時計のリズムを整えるのに重要なカギとなるのが体温(深部体温)です。体温は日中の活動時に上がって夕方にもっとも高くなり、夜の休息に向かって下がるようになっています。人は体温の上昇によって目覚め、体温の低下によって眠気が生じるので、このカーブをスムーズにすることが快眠につながります。
しかし、日中の活動量が少ない人では、昼と夜の体温差が小さく、活動と休息のスイッチの切り替えがうまくいきません。そのため、深い眠りが少なくなって眠りの質が悪くなります。逆に日中に活動的に過ごして体温が上がると、夜に向かって体温がスムーズに下がり、深く質の高い眠りが得られます。
睡眠の質の低下は、自律神経の働きの乱れやホルモン分泌にも影響を及ぼします。血糖値を上昇させるホルモンが増えて糖尿病の一因となったり、睡眠中の血圧が下がりにくくなって高血圧が生じるなど、生活習慣病を招きやすくします。生活習慣病は骨粗しょう症リスクを高めることから、骨の健康維持のためにも睡眠を見直してみることは大切です。