骨密度を上げる有効な運動としては、ジョギングやエアロビクス、太極拳など、骨にかかる負荷が大きいほど効果があるとされています。ただし、高齢の方や低骨密度の方では、無理をするとかえって腰や膝を傷めることがあるので注意が必要です。簡単なストレッチの他、適度な筋力増強運動や有酸素運動(ウォーキングやジョギング)、転倒予防としてバランス力を養う運動を行うとよいでしょう。
骨粗しょう症の患者さんの中には、骨を傷めることへの恐れから、運動に対して消極的になってしまう人もいらっしゃるようです。しかし、近年では手術後などの一時的な安静を除いて、長期の安静はかえって骨を衰えさせてしまうことから、医師や理学療法士の指導のもと継続的な運動をすることが勧められています。
骨を強くする運動といっても、必ずしもスポーツジムに通ったり、きつい運動が求められるわけではありません。骨密度を上げる運動という意味では、一時的に運動を頑張っても、運動を止めてしまえばその効果は失われてしまうので、軽い運動でも継続して続けることが大切です。
身近なことでは、散歩や買い物などでよく歩くことや、家事仕事でこまめに体を動かすなど、日常の活動量を増やしながら、次にご紹介する運動を取り入れてみましょう。一般的に年齢を重ねると、若い頃と比べて活動量が少なくなる傾向にありますが、普段骨への負荷が少ない人では、日常活動に少しだけ高い負荷がかかる運動をプラスするだけで十分効果があると考えられています。
<開眼片脚立ち体操>
骨と筋肉を強くし、バランス感覚を養ってくれる運動に、開眼片脚立ち体操があります。家の中で場所をとらずに、1回数分程度で行える手軽さが利点です。
高齢者が転倒して骨折したときに長期の治療・安静が必要になりやすい部位に大腿骨近位部(脚の付け根)がありますが、開眼片脚立ち体操は片脚で立つことによって、両脚で立ったときの倍の負荷が片脚にかかり、大腿骨近位部の骨密度改善と筋力強化につながるとされています。ウォーキングと併せて行うとより効果的です。
なお、この開眼片脚立ち体操をはじめ、骨と筋肉を強くし、バランス感覚を養う運動については、第18回(2018年5月掲載予定)でより詳しく紹介する予定です。
筋肉をしっかりと鍛えることは、転倒時の骨への負担が軽減し、骨を守ることにつながります。なお、骨粗しょう症と診断されている人は、かかりつけの医師と相談しながら安全に行なってください。無理のない範囲で、コツコツと骨と筋肉を強くする運動を続けていきましょう。