骨粗しょう症を治療する薬って?/ビスフォスフォネート製剤(2)
〜効果をあげるために気をつけたいこと
2018年7月17日
骨粗しょう症の治療薬であるビスフォスフォネート製剤は骨吸収を抑えて骨密度を増やし、骨折を防いでくれる薬ですが、薬の効果を最大限に発揮させるには、服用時に気をつけなければならない、いくつかのポイントがあります。
前回のトピックスでも紹介しましたが、ビスフォスフォネート製剤は、朝起床してすぐ、胃がからっぽのときに飲むようにします。胃に水以外の食べ物や飲み物があると薬の吸収を妨げてしまうためです。
またその際は、必ずコップ1杯程度の水道水か、白湯で飲むようにしてください。お茶や牛乳、ジュースなどではいけません。ミネラルウォーターで飲む場合は、硬度300mg/L以下のミネラルウォーターを選ぶようにしましょう。硬度が高く、マグネシウムやカルシウムを多く含むものの場合、薬の成分がミネラルにくっついて、尿や便と一緒に体の外に出て行ってしまいます。
薬を飲み終わった後30〜60分間は、食べ物、飲み物、他の薬はとらず横にならないようにします。 横になると、胃の中のものが食道に逆流してきて、食道の粘膜を刺激する可能性があるからです。横になるのと同様に、前かがみの姿勢でも逆流をおこしやすいので、掃除機をかけたり、床掃除をしたりといった作業も、薬を飲んで30〜60分以上経ってから行いましょう。
骨粗しょう症は長い間にゆっくりと進行する病気ですので、多くの場合治療に長い期間を必要とします。時にはうっかり薬を飲み忘れてしまった、間違えて飲んでしまったということもあるでしょう。そのような時は、2回分をまとめて飲むなどの自己判断はせず、落ち着いて対応することが大切です。今飲んでいるビスフォスフォネート製剤が、1日1回服用するタイプか、1週間に1回服用のタイプか、4週間に1回(1ヵ月1回)服用するタイプかによっても対応が異なりますので、それぞれ確認してみましょう。
●飲み忘れた場合
<1日1回タイプ>
その日は服用せずに翌朝から1回分ずつ服用します。
<1週間1回タイプ>
その日は服用せずに翌朝に前日の1回分を服用します。次の服用は1週間あけずに、予定日に服用します。
<4週間(1ヵ月)1回タイプ>
その日は服用せずに翌朝に前日の1回分を服用します。思い出したのが次の服用予定日から7日以内の場合には、お薬を飲むのを1回お休みして、次の服用予定日に1回分のお薬を飲みます。
いずれのタイプの薬も、朝食前やほかの薬を飲む前に気づいたのであれば、すぐに飲んで大丈夫です。また、薬を飲み忘れてしまうとつい慌ててしまいますが、「胃が空っぽのときに飲む」、「服用後30〜60分は飲食をしない、横にならない」などのポイントは、しっかり守ってください。
●間違って多く飲んでしまった場合
<1日1回タイプ><1週間1回タイプ>
無理に吐こうとしないでください。心配なようでしたら、カルシウムを多く含む牛乳、カルシウムやミネラルを多く含むミネラルウォーターなどを飲みましょう。薬がミネラルにくっついて体の外に出ていきます。詳細については、医師または薬剤師に相談してください。
<4週間(1ヵ月)1回タイプ>
医師または薬剤師に相談してください。
いずれのタイプの薬についても間違って飲んでしまった後、体に異常を感じたら早めに医師または薬剤師に相談してください
また、最近では様々なサプリメントが売られていますが、薬との飲みあわせによっては、効果が得られなかったり、薬の効果を弱める、あるいは強めたりしてしまうこともありますので注意しましょう。処方薬だけでなくサプリメントについても医師や薬剤師に相談してから飲むようにしてください。骨粗しょう症は、効果的な治療で病気の進行を抑えることができます。薬と上手につきあっていつまでも丈夫な骨を目指しまししょう。